第6回 楽しむこと。
長い間、小説を書き続けていると、どうしても目的を見失ってしまうことがある。
書くために書く、のような自動筆記システムになってしまうと、作品の質の低下は免れないし、そもそも楽しくない。
ここ数年は、物語を書くにあたって、一番心がけたのは「楽しむこと」だった。いつの間にか、楽しめなくなっていた書くことの楽しさを取り戻すため、試行錯誤を繰り返してきた。
それがすぐに結果に結びついたとはいわないが、客観的に判断して、それまでの数年より、能力が一番伸びた率がよかったのではないかと思う。
「叱って伸ばすより、褒めて伸ばせ」という、どこかの教育論ではないが、自分が楽しみことにより、能力が伸びやすくなるということはあるかもしれない。
そもそも、知っているプロ作家を見ていると、アマチュアより楽しそうに書いている気がする。しがらみのないはずのアマチュアの方が、四苦八苦、苦しげに書いているのは、なんだか不思議な光景だ。
もちろん、プロだってすらすら書けているわけではないだろうが、その苦しさすら楽しむだけの経験があるということなのかもしれない。
なんにせよ、書くことを楽しめなければ、始まらない。そんな気がする。
2007-02-06 21:32
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